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7,8年前、JTの教育担当、柳沼さんが研修後につぶやいた。
「井上先生の研修はいつもすごい熱気で、みな興奮。でもこの熱気、いつまで続くのかな?
このつぶやきは、ぼくの心に残った。
うーん。その通り。勝ってバンザーイでいいのか。考えないといけないな。
ディベートの試合はスポーツと同じ。興奮する。勝っても負けても。
勝ったチームは皆で握手をして讃えあい、負けたチームは唇をかんで悔しがる。
でも、3ヶ月も経てばきれいに忘れる。さっぱりと。勝った、負けた事実だけが心に残って。

何故勝ったのか、何故負けたのか」その分析は殆どジャッジに任され、ディベーター自身はしない。
だから内容が心に残らないのだ。

そういえば、昔、勝敗以外で悔しい思いをしたことがある。
北岡俊朗氏のディベート研修に出たときのこと。
題は「アサヒとキリンはどちらが優れているか」 一週間まえに課題書籍を渡され、
その内容にそってディベート。当日3対3の組替えをして準備に一時間をかけた。
参加者は色々な中小企業から派遣された社員。その中の同じ会社から来た二人と組んだ。
開口一番「俺たち、こうゆうの苦手。井上さん、得意そうだから全部任せるよ。
何でもいいから指示してよ、言う通りにするから...」おおっ...烏合の衆とはわれらのことか。
じとっー(汗) ぼく「わ・わかりました...ではこんな作戦で行きましょう」勿論、試合は完敗。
質問のところでめろめろになったからだ。でも、自分のパートはかなりしっかりとやれた。
でも検証する術が無い。 ビデオがあれば、見ることができたのにぃー。

もう1つ。
ディベート研修が失敗する大きな理由にジャッジに対する不信感がある。
これはどこの試合でも同じだ。 野球でも、柔道でも、フィギュアースケートでも。
だからビデオで振り返るのである。所詮人間がすること。判定に誤りはつきものである。
ある大学ディベート大会では、試合後すぐにジャッジから勝敗の発表と理由説明が
ディベーターにたいしてなされる。これはジャッジとしてかなり緊張する。
勝利宣言を受けたチームはにっこり。好意的な目を向けてくれるが、
負けたチームからの視線には棘がある。 5分間説明をして席に戻ると、
あとから双方のディベーターたちからジャッジの説明に納得したか、説明の仕方はどうだったか
5段階の点数表が届く。殆どの場合、勝者からは5.敗者からは2−3である。
でも時々、双方から5を貰う時がある。これは嬉しい。わーーい。こんなときも思う。
ビデオがあれば、みんなが納得するのにぃー。

5年前から、試合時間を短くしてまず全体をビデオにとってそれを全員で検証。
それから全員が勝敗を判定する方法を取っている。ディベーター4人がビデオを見ながら
みなの前で白板をノートに見立て、自分たちのディベートの内容を時系列的に書いていく。
これは効いた。研修効果は数倍に上がった。

    ・ 勝っても、負けても興奮しなくなる
    ・ 納得するので、ジャッジについての不満、不信感がない
    ・ コーチも自分のディベートを見ることができるので、成長する
    ・ 各自、成長のためのヒントや「気づき」が沢山得られる
    ・ ジャッジをするためのノートのとり方が練習できる

ディベート研修の目的が、結果重視の「勝つか負けるか」であるならビデオは必要ない。
しかし、長期に亘ってディベート技術を維持し、プロセスの中で多くの「気づき」を得ることが
目的ならば試合をビデオでジャッジすることを薦める。
2006年


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