SPEECH&DEBATE スピーチ&ディベート エッセイ"ディベートは真面目にやっちゃだめ"
ホーム
Coaches クラス案内 暗唱(動画) スピーチ(動画) ディベート(動画) ロータリー留学
仮説と検証 Haruo&Happy(動画) ぼんやり塾 スピーチエッセイ集 ディベートエッセイ集 ユーモアエッセイ集





皆げらげら、楽しそうに笑っています。T&Tの英語、TOSHIの日本語ディベート研修の1シーン。
「わぁー 楽しかったぁー」「時間があっという間にすぎた」「もっとやりたーい」でもこんな感想、企業研修では歓迎されないようです。
ましてや、感想はマンガで描いてください、なんていったら、研修を何と心得てるのかぁー 消えうせろぉー 金かえせー と研修会社と研修担当者に
怒られてしまいそう。

でもね「ディベートは真面目にやっちゃだめ」なんですよ。
根拠をこれから書きますね。
まず、阿川弘之著「大人の見識」(新潮新書)から、孫引きですが、とても重要な個所を書き出しましたので読んでください。

「ユーモアにはpunという駄じゃれの類から、辛辣な皮肉や風刺、ブラックユーモアまで、多種多様な形があって、英国のある種のユーモアなど、英国紳士の生活や感覚を知っていないと、そのおかしさが分からない。
だけど、ユーモアの複雑多岐な形を貫いて、一つ共通することは、
『いったん自らを状況の外へ置く』いう姿勢、『対象にのめりこまず距離を置く』という余裕がユーモアの源である」

これは著者が愛読書「遥かなるケンブリッジ」藤原正彦著から、引用しまとめた個所です。
「対象にのめりこまず距離を置く」という余裕がユーモアの源という最後の文に注目してください。
これこそ、ディベートの基本姿勢じゃないですか。
論題が何であろうとも、賛否両論を自由自在に
論じる
ことが出来るのがディベーター。
もし、論題にのめり込み、感情移入してディベートをしたら、喧嘩になってしまいます。
ユーモアとディベートの共通点。それは「いったん自らを状況の外へ置く」という姿勢だということがわかります。

ぼくは長年、米国人、英国人、日本人のディベートを見てきました。
明らかに違いを感じます。
米国人は裁判、英国人は議会、そして日本人は官僚答弁型のディベートをします。
ひとの心を動かすスピーチやディベート、ユーモアやウイットは、躊躇なく英国人に軍配を上げます。
アフリカで沢山、イギリス人のスピーチを聞きました。
ディベートもしました。
思わずにやっとするひねりが必ずある。
キケロを持ち出すまでもなく、ユーモアとディベートは英国人にかないません。
伝統の重みかな。


米国式や日本式のディベートは情報やエビデンス収集にかなり時間をかけます。
試合に臨む頃には、論題について専門家はだしの知識を持つ。
ですから思い入れも強くなり、笑いのない真剣な論理展開が繰り広げられます。
日米の差は、米国人はアイコンタクト重視、日本人は原稿の棒読みぐらいかな。
それに反して、世界で主流になってきた英国式ディベートの準備時間はたった20分。
殆ど即興です。
論題も多岐にわたり、おもしろい。
「大学は時間の浪費だ」なんて題は、ケンブリッジの大学生好みのもの。
日ごろ培った教養、ものの見方考え方、ユーモアのセンスで勝負するのです。
英国式ディベートでは「対象にのめりこまず距離を置く」練習ができます。
ディベートをすればするほど自分を突き放して、笑えるようになり、ユーモアを使うのが上手くなります。


ディベートの練習をしたら、ユーモアのセンスが磨かれた。
こうならなければいけません。
赤穂義士は義士か不義士か。
口の先で自由自在。
この福澤諭吉型こそ、伝統的な英国のディベートなのです。
ディベートは「遊び」。世界で通用するディベートをしたいなら、真面目にやっちゃだめ。

2008年 


 目次へ