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13年飼っていたサンディが死んで、その後1年は次の犬を飼う気にならなかった。
ただ散歩の時、こまった。1人で黙々と歩いていてもつまらないのだ。かといってきょろきょろして
いると、空き巣狙いか下着ドロボーみたいにみられる。冬はとくにヤバイ。野球帽とマスク。
くたびれたスニーカー。それに安手の手袋なら、ATMの防犯カメラに写る犯人スタイルにそっくり。
ウィンドウに映った自分の姿をみて、次の犬を飼おうと決めた。

それはひょんなことから、実現した。山梨県河口湖の蕎麦屋に入ったとき、勘定を済ませて
ふと壁をみると、白い小さな犬の写真がある。下にウエスティ 生後3ヶ月 8万円 売りますとある。
おー これは何かの縁。家人の制止も聞かず見せてもらった。その蕎麦屋は、ブリーダーもやって
いたのだ。色々な犬が他にもいた。ダックスフンド、ウエスティ(ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの
愛称)の3匹抱かせてもらった。その中の一匹、ウエスティの雄が猛然と顔を舐めてきたのだ。
テカテカマンといわれるぐらい脂ぎったオジサンの額や鼻、白毛まじりのひげ、たらこ唇、
所かまわず舐めてくれる。京都の油紙もいらないくらい、すっきりした。

ぼくの人生のなかで、こんなに顔を舐めてくれた女性はいただろうか。考えたら、涙が溢れてきた。
殆どの女性は脂ぎったおっさんをきらう。おっさんが、汗をふきふき、楊枝をくわえて、蕎麦屋から
でてきて、「あぁくったくった」なんていうと、身の毛もよだつという。 そんなおっさんの顔を
まんべんなく舐めてくれる。この犬は、中期高齢者の味方、自信をつけてくれるセラピスト、恩犬。
この犬を買わずして、男といえるか。家人の制止を振り切って買ってしまった。 それがHAPPY。
が、この犬は大変な犬だったのが後でわかる。(ワーン、犬でなくぼくの泣き声)

HAPPYという言葉を発していると、HAPPYになるという説を単純に信じて、この名前をつけたが、
1歳を過ぎたころから、HAPPYではなくなった。悪戯、暴走、無駄吠え、体当たり、興奮噛み、
拾い食い、と傍若無人な態度をとるようになったのだ。この犬種の特徴は、興奮すると手がつけられ
なくなること。玄関チャイムが鳴ると発狂。オートバイ、宅急便に発狂、ブルドッグや黒犬に発狂、
お客に発狂、カラスに発狂。動くものに発狂するのだ。サンディは大人しかったので、困惑した。
発狂している最中に制止すると、噛む。足や手を何回か噛まれた。この野郎! 飼い主を噛みやがって
とぼくも興奮。時にはひっぱたいて黙らせた。その後は悲しい時が訪れる。舐めてくれる恩犬を
叩いてしまったのだ。双方、UNHAPPY....何とかしなきゃ...

その後いろいろとトレーニングを試してみたが失敗。今年になってやっと出合ったのが、
森田式トレーニング。森田さんのDVDをみて驚いた。暴れ犬が、森田さんにかかると、瞬く間に
素直ないい子になってしまう。森田さんは云う。餌でつってはダメ。権威と受け止め。怒る時は、
権威を使いリードでショックを与え、そのあとは愛情で受け止める。ひたすら誉める。
「よーし よしよしよし」と四拍子で体をさすって誉める。それを長い時は20分も続ける。
散歩の途中でも、いい子だったら四拍子で誉める。すると犬は、心から主人に仕えることを
喜ぶようになるというのだ。大切なのは、主従関係の構築。

よーし よしよしよし、 よーし よしよしよし、 よーし よしよしよし。 やってみた。びっくりした。
1週間でHAPPYが変ってきたのだ。
うっとりして、ぼくの目をみるようになった。
舐め方も違ってきた。今までは
やけっぱちに舐めてくれていたのが、
ひと舐め、ひと舐めに愛情がこもるように
なってきたのだ。そして、おとなしくなった。
興奮しそうな時は、リードをもって静かに
「権威をつかうよ」 という。
するとおさまるようになった。

困ったのは、この「よーし よしよしよし」が
口癖になったこと。

「ごはんですよ」「よーし よしよしよし」
「株さがりました」「よーし よしよしよし」
「メタボです」「よーし よしよしよし」

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2008年


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